白川勝彦法律事務所
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1979年白川勝彦政治法律事務所を開いて40年間、私の基本理念は一貫して“リベラル”と“権利のための闘争”であった。それは現在も変わらない。

 

弁護士と司法書士の違い

No.61

最近の債務整理の現場は、恐ろしく乱れている。債務整理を他の事務所に依頼したが、その後いろいろなトラブルが発生し、事務所から辞任されるというケースだ。弁護士が行っている法律事務所でも、そういうケースがない訳ではないが、司法書士が行わっている法務事務所が圧倒的に多い。その原因は、どこにあるのだろうか。

いま、各種の債務整理の広告を見ていると、弁護士が行っている法律事務所は少なくなりつつあるが、司法書士事務所の広告が激増している。あたかも、債務整理は司法書士の仕事であると言わんばかりだ。しかし、債務整理はかなり難しい法律問題だ。法律問題の受任は、ほんらい弁護士の独占業務だった。ところが、これに大きな変化があったのだ。

そうなったのは、司法書士が簡易裁判所に係属する訴訟の代理権を付与されるようになってからである。もちろん、司法書士のうち認定司法書士だけができるのだが、認定司法書士には、比較的簡単になれるのだ。簡易裁判所は、訴訟物の価額が140万円以下の民事事件の裁判を行うところである。

国民が抱える小額の訴訟事件を全部弁護士が処理できるかどうかは、疑問である。そこで、小額の民事裁判の代理権を認定司法書士に与えたのだが、これを機に、司法書士が債務整理の分野に大挙して参入してきたのである。時は、過払い金返還バブルの真っ最中であった。過払い金の返還など、あまり訴訟などしなくても、貸金業者が返還してくれる時代であった。

しかし、債務整理をしなければならない多重債務者が抱えている債務の額は、通常最低でも200~250万円くらいである。140万円くらいの借金なら、あえて弁護士に債務整理をしようなどと、あまり思わないであろう。多重債務者も、ひとつの貸金業者から200~250万円も借りているケースは、ほとんどない。70~90万円からの借金が3~4社にあるのが、普通だ。弁護士会は、140万円以上の債務整理を行うことは弁護士の業務であり、司法書士の業務を超えていると主張している。司法書士会は、一件当たり140万円以下の債務整理は、司法書士の業務範囲だと主張して張り合っている。

私は、業務の権限争いに口を挟むつもりはない。しかし、多重債務者が抱えている債務をどう整理するのかが問題なのである。300~500万円の債務全体をどう整理するのか、が求められているのだ。その場合、個人再生や自己破産も視野にいれて、債務整理の方法全体を説明し、債務整理の方針を決める必要がある。認定司法書士には、個人再生や自己破産の申し立てを代理する権限はない。書類の作成ができるだけである。

個人再生や自己破産の申し立ては、そんなに簡単ではない。かなり難しい法律的論点や手続きがある。弁護士でも、それらに精通しなければ、依頼者の希望にそった債務整理はできない。だから、弁護士が受任した債務整理の案件でも、いろいろとトラブルが起こるのだ。個人再生や自己破産では、裁判官と激しい議論をしなければならないことがかなりある。書類を作成する権限しかない認定司法書士は、どうやって業務を行っているのだろうか。

他にもいろいろな問題があるが、これは、稿を別にして述べよう。

  • 公開日時: 2012年05月17日 07時13分
  • 分類: General
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