白川勝彦法律事務所
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1979年白川勝彦政治法律事務所を開いて40年間、私の基本理念は一貫して“リベラル”と“権利のための闘争”であった。それは現在も変わらない。

 

運命の平成22年6月18日

No.43

遂に6月18日が来た。債務整理に携わる者にとって、この日は忘れられない日となるであろう。改正貸金業法が平成22年6月18日に施行される。“多重債務者を生み出さないために”、年収の3分の1以上を貸金業者は貸し付けてはならないということが、一つの眼目である。もう一つは、これまでグレーゾーンと呼ばれてきた金利がなくなることである。

これまでも、グレーゾーン金利の貸し付けは、民事上は利息制限法違反であり、法的には無効であった。これが、これからは刑事上も違法となる。だから、貸金業登録業者は、グレーゾーン金利と呼ばれてきた利率での融資はできなくなる。この点は、確かに評価できる。だが、これからも多くの多重債務者は生まれるであろう。貸金業者の中に、銀行は含まれていないからである。さらに言うなら、利息制限法が定める18%(100万円未満の貸し付け)、15%(100万円以上の貸し付け)という金利が、そもそも高いからである。

今回の貸金業法の改正の最大の問題は、現に多重債務に陥っている人たちに対する配慮が欠けていることである。債務整理の実務に携わっている者に言わせれば、年収の3分の1位しか借りていない人は、多重債務者ではない。多重債務者と呼ばれる人々は、現に年収の半分以上から年収近くの借金をしているのである。その人たちが、今回の改正により新しく借り入れができなくなったのだ。

これまでは、給料の一部で月々の返済金に充てると、業者から借入限度内で新しい借り入れができた。その借りたお金で、別の業者の返済をして、兎にも角にも、しのげた。自転車操業と言えばそれまでだが、多くの多重債務者は、なんとか遣り繰りしてきたのである。これができなくなった。結果としては、他人から援助を受けるか、破産を考えざるを得なくなる。いまの世の中、多重債務者を援助できる親とか親戚がいる人は、本当に少ない。そうすると、多くの人々は破産の道を選ばざるを得なくなる。

破産が、最小のコスト(債務弁済金および弁護費用)で債務を整理する途であることは、確かである。だから、嬉々として破産を勧める法曹人も多い。だが、多くの破産者を生むことが正しい政治だろうか、正しい法曹のあり方だろうか。私は、疑問無しとしない。破産者に対するペナルティ・デメリットは、昔に比べれば確かに少ない、ほとんど無いといっても良いのかもしれない。しかし、それを説明しても、多くの人々は、できれば破産は避けたいという。

そう考える人が普通なのであって、破産を推奨しているような現在の政治や法曹の姿勢がおかしいと、私は考えている。

「いろいろな法律事務所に相談したのですが“破産しかないですね”と言われたのですが、本当にそうなんでしょうか」

という相談が、かなりある。話を良く聴くと、破産などしなくても債務を整理できるケースは、かなり多い。

安易に破産で借金をチャラにするより、債務者にとっても弁護士にとっても有益で希望の持てる解決方法を探ることこそ、採るべき途であろう。破産で借金はチャラにすることはできるが、人生にはチャラにできないことが多い。多額の借金は、その人の人生の縮図である。その人のこれまでの生き方の結果である。借金をチャラにすることにより、その人の生き方がチャラにできる訳ではない。最近の実務では、破産は簡単に認められる。だが、法曹の事務量の多寡で破産者を作ってはならない。

  • 公開日時: 2010年06月18日 03時07分
  • 分類: 債務整理
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